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新疆ウイグル自治区のコットン問題(新疆綿問題)とは?

アパレル業界で、新疆ウイグル自治区からの原材料などの調達を停止する動きが、話題となりました。

国会においてもこの問題について、質問答弁がされているほどです。


中国によるウイグル人への人権侵害に関する質問主意書

特定の地域からの調達停止は、今までにない稀なケースです。どのような理由で、新疆ウイグル自治区の製品使用が規制されているのでしょうか?

新疆ウイグル自治区

新疆ウイグル自治区とは

新疆(しんきょう)ウイグル自治区とは、中国の北西に位置し、広大な面積を有している自治区です。面積は日本の4.5倍ほどもあります。ここでは多数の民族が暮らしていて、最も多い民族がウイグル族です。

ウイグル自治区では広大な土地を活かして、綿花の栽培が活発に行われています。ウイグル自治区で栽培された綿花は「新疆綿」と呼ばれていて、世界3大綿の一つに数えられています。ウイグル地区のコットン生産量は、中国で生産されるコットンのうち約85%も占めると言われていて、2020年のコットン生産量は約516万トンも生産されています。この新疆綿は、世界中の多くのコットン製品に使用されているのです。

新疆ウイグル自治区の歴史

新疆ウイグル自治区では、イスラム教を信仰するトルコ系の少数民族が多く住んでいて、元々はウイグル人によって統制されていました。

18世紀に入り、清朝の支配下に置かれて以降、中国の支配下が続いています。1955年に、省から自治区へと行政が変更され、「新疆ウイグル自治区」が誕生しました。

ウイグル族が中国の支配から独立するために、イスラム教過激派による、爆弾テロなどが1990年以降相次いで起こりました。これに危機感を覚えた中国政府は、収容施設を設けてウイグル族の弾圧を始めました。

新疆ウイグル自治区の製品規制理由は?

国際アパレル人権 NGOである公正労働協会(FLA:Fair Labor Association)は 2020年12月23日に、加盟企業に対して、新疆ウイグル自治区で生産される原材料や仕掛品、最終製品の調達を禁止すると発表しました。FLAは、アパレル企業の責任ある労働慣行を監督するアメリカのワシントンD.C.を拠点とする非営利団体です。

FLAに加盟する代表的な企業は下記などがあげられます。

NIKE / Adidas / Patagonia / NEW BALANCE / 

ファーストリテイリング / UNDER ARMOUR  など

FLAが特定の地域からの生産や調達を禁止することは、今回が初めての事例となります。

では、一体どのような理由で商品の調達が禁止されたのでしょうか?

人権侵害

商品の調達の禁止となった大きな要因は、新疆ウイグル自治区の人権侵害問題にあります。

強制労働

中国政府がウイグル自治区の人たちを強制的に働かせているのではないかと疑惑が上がりました。オーストラリア戦略政策研究所(Australian Strategic Policy Institute)の発表によると、2017年から2019年の間で、約8万人ものウイグル族の人たちが収容所から中国全土の工場に送還され、強制労働を強いられたと発表されました。ウイグル族が送られる工場では、世界中のトップアパレル企業に向けて生産される材料などが製造されています。この強制労働は、中国だけの問題にとどまらず、世界各国に影響を及ぼす国際問題であると認識されるようになりました。

監視社会

ウイグル自治区では、町中に監視カメラを設置したり、住民をQRコードで徹底管理されたり、警察官による尋問などで、人々の生活を徹底監視しています。便民刑務ステーションと呼ばれる交番のような施設も数100m単位と小間隔に設置されています。

さらに、ウイグル族の誤った思想を正す目的として設置される収容所に送り込むなどして、ウイグル族の行動や思想の自由を奪っていることが問題視されています。収容所ではウイグル人として生まれたことを反省させられ、中国の共産党社会への忠誠を誓うことを強いられると言われています。

女性の人権侵害

ウイグル自治区に設置されている収容施設は中国共産党の再教育を目的としていますが、実際は不妊手術を強制させられ、虐待や監禁などが日常的に行われているとも報告されています。中国政府は、ウイグル族を過激派のイスラム信者としてみなし、ウイグル族の人口を増やさないために、女性を収容所に連行して、不妊手術を強制させていることが、ウイグル族の勇気ある女性たちの発言により明らかになりました。

2017年から今まで100万人近いウイグル族が収容されていると報じられています。そして、ウイグル自治区の人口は、2015年から2018年にかけて、半減していると報告されています。

規制によるアパレル企業の影響

不買運動

ウイグル自治区の強制労働の報道を受けて、ウイグル自治区のコットンや製品を使用しないと発表した企業は多数あります。サステイナブルファッションに力を入れるPatagoniaを初め、NIKEやH&Mなどの大手の企業は、ウイグル自治区のコットンの調達停止を発表しました。

これに対して、中国政府は反発し、中国国内の不買運動に発展しました。中国のアパレルマーケットは、世界的にも非常に大きく、不買運動は調達停止を発表した企業に大きな影響を与えました。

実際に、中国市場ではNIKEやAdidasなどの海外アパレルブランドが購買ランキングの上位を占めていましたが、不買運動が始まって以降、中国国内ブランドである「安踏」の売上は前年比で53%も向上しました。不買運動の対象となるブランドでの購入を避けて、中国国内の企業への購買傾向に大きく傾いたのです。

日本企業のバッシング

日本企業では、中国のマーケットの大きさゆえに、新疆の人権侵害問題に関して、明確な批判をすることを避けた企業が、不信感からバッシングを受けています。

ユニクロで知られるファーストリテイリングでは、ウイグル自治区の人権問題に関しては、「政治的発言に触れるため、ノーコメント」とあいまいな態度を示したことから、多くの投資家から批判を受け、一時は株価が大幅に下落しました。

また、無印良品では、新疆綿を使用していることが明らかになりました。これに対して、無印良品はウイグル自治区に第三者を派遣し、監査を行いました。その上で、法令や行動規範に対する重大な違反は確認していないとして、新疆綿の継続使用を発表しました。

このような日本のあいまいな姿勢が、日本企業は人権問題に関して後ろ向きであると批判の声が上がっています。しかし、中国企業は多くの日本企業にとって、重要なマーケットに位置します。実際に無印良品にとって中国マーケットの売上は、全体の2割近くを占める最重要市場の一つです。

軽率な発言は首を絞めることになりかねず、アパレル企業は、この人権問題と不買運動の板挟みの状態に悩まされてきました。

まとめ

POINT
  • 新疆ウイグル自治区:中国北西に位置する最大の自治区

世界三大綿の一つ「新疆綿」の生産地である、コットン名産地

  • 新疆ウイグル自治区の製品規制理由は人権侵害
    • 強制労働
    • 監視社会
    • 女性の人権侵害・強制労働不妊手術
  • 規制によるアパレル企業の影響
    • 中国の不買運動 
    • 日本企業のバッシング

なお、新疆ウイグル自治区のコットン問題に関しては、中国政府は一貫してこの問題を否定しています。

また、この問題に関しての報道は、特に欧米の報道機関が中心となって報じています。アメリカは米綿と呼ばれる綿花の一大輸出国であり、新疆綿とは利害関係があるという立場でもあります。情報を多角的にとり、自分の身の回りの問題を正しく把握することや製品の原料について関心を持ち続けることが大切です。

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