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日本の繊維業界の今と、輸出への展開

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かつては繊維産業が盛んであった日本も、海外への生産拠点の移転が進み、国内だけの生産・消費で経済を回すことは難しくなってきています。それでも、繊維大国であった日本の熟練の技や知識を活かしたMade in Japanの製品を輸出することで、繊維業界の再発展を目指しています。

日本の繊維業界の現在と、繊維輸出について調べてみました。

日本の繊維業界と輸出への展開

日本の繊維産業の現在

衣・食・住の一つでもある衣料品を作るために、生活には欠かせない存在の繊維。昔は、糸の生産から織り・編み、そして染色や後加工に加えて縫製まで一貫して日本で行われているほどの繊維大国でした。しかし、時代や経済の流れには逆らえず、日本よりはるかに安い賃金と、大量生産をこなせる海外の繊維産業の拠点シフトが著しくなっています。今では日本にかつてあった多くの繊維企業が撤退し、残った企業は生き残りをかけてさまざまな工夫や技術向上に、日々取り組んでいます。

日本は、繊維産業の革新的な技術を追求しリードする一面もありますが、繊維業界で働く人が減っていることも事実です。特に、縫製面に関しては、ほとんどが日本から撤退し、中国やベトナムを初め、バングラディシュなどの発展途上国で縫製されています。コストパフォーマンスを考えると、縫製品に今から手を出すことは厳しい状態であることが分かります。実際、衣服の実に97%以上は海外から輸入に頼っています。このような状況の中で、日本だけに留まらず、素晴らしい日本の生地を海外の縫製工場へと輸出していくことを視野に入れる必要があります。

上記の通りコスト面では苦しいですが、織りや染色などの加工技術では、日本が誇れる長い経験と熟練の技術があり、他の国では真似ができない製品の提供ができています。このような唯一無二な商品や日本にしかできないモノつくりを海外展開することで、日本の繊維産業の発展に希望を見えてくるかもしれません。

日本の繊維の輸出と需要

それでは、どのような日本の商品に需要があり、輸出されているのでしょうか?

縫製の撤退は進んでいますが、糸や生機、染品や後加工生地は未だに世界へと出荷されているのです。

 

加工糸

糸の開発は世界的に見ても、日本はとても進んでいます。糸は最終の仕上がりを大きく左右する、生地の構成に当たって重要な要素です。生地の重さや物性面、光沢感などの大部分は、糸次第で決まることがほとんどと言っても過言ではないでしょう。そんな重要な要素を占める糸に、日本の技術の需要があります。

例えば、日本は仮撚りと呼ばれる撚糸技術に優れています。仮撚り加工糸は、テクスチャード加工糸とも呼ばれ、化学繊維の熱可塑性を利用して作られる加工糸です。熱可塑性とは、常温では変形しにくいですが、熱をかけると軟化しやすく、冷ますと再び固くなり、形状記憶のような働きがある性質のことを指します。

ナイロンやポリエステル等のフィラメント糸に、撚りをかけた状態で加熱して、その形状のまま冷却することで撚った状態の形をキープし、糸がクリンプ形状となり、かさ高性や伸縮性が生まれます。

ナイロンの場合、通常ナイロン6.6と呼ばれる、ナイロンの中でも耐熱温度や耐久性に優れている糸を使用することで、撚りを安定させることができますが、ナイロンの供給の大半数を占めるナイロン6では伸縮性の高い糸を作ることには技術が必要となります。この技術が現在、日本の追い風となって注目されています。

現在、世界の多くの企業で環境に配慮するサステイナブルな原料を使用する会社が増えてきています。その中で、ナイロン6.6のリサイクル化はあまり進んでおらず、ナイロンのリサイクル品のほとんどはナイロン6の糸です。供給量が元々少ないナイロン6.6のため、リサイクル資源がなく流通が少ないことは納得ですよね。そのため、仮撚り糸もリサイクルの場合は、ナイロン6に限られるケースが多く、海外では耐熱温度の低いナイロン6で、高い伸縮性を持ち合わせた仮撚り加工糸は生産ができないのです。

このように、日本にしかできない技術は、世界的にも需要があり、コストパフォーマンスの壁を乗り越えて輸出されています。

 

織物・編物

海外では効率重視の織編物が生産されることが多いですが、コストやキャパシティーで負ける日本の機屋では、技術面にフォーカスし、緻密で繊細な生地を生産しています。

織物の場合、経糸を張った状態で緯糸を打ち込みます。緯糸の種類を2種類以上使って打ち込むことは容易ですが、経糸に2種類以上の糸を使用することは、手間がかかり、テンションコントロール等の技術も必要となるため、海外では敬遠されます。日本はこの2種類の経糸使いでもうまくコントロールできることから、より幅広いデザインができたり、2種類の糸使いができることから物性面に強化した生機の生産も得意としています。

他にも先進的な糸を使用する場合、織り技術が要求されるケースもあり、日本の技術が詰まった生機が、海外輸出されています。

 

加工品生地

以前も加工の違いについて触れましたが、日本にしかできない染色や後加工技術もたくさんあります。

軽量品や高透湿防水などの高い技術とスペックを持った加工は、日本の得意分野でもあります。効率よりも、しっかり時間をかけて加工することで、同じ生地でも日本加工独特の風合いを出すことができます。少しの手間と技術向上を惜しみなく続ける日本の加工は、海外からの信頼も高く、世界各国に輸出されています。

以前の記事で、日本と海外の技術の違いについても投稿していますので、よろしければ、こちらもご覧ください。

日本のテキスタイル加工と海外のテキスタイル加工の違いとは? かつては繊維産業大国であった日本も、今では中国をはじめとする新興国に生産移転してきたため、日本の繊維業界の空洞化の進行は著しくなってい...

 

サステイナブルで耐久性のある生地

ここ数年、SDGsなどの情報発信のおかげで、個人のサステイナブルに関する意識が上がっています。繊維業界は、環境汚染や人体への悪影響が多い業界であることが、たくさんの研究結果によって報告されています。

特に近年、アパレル業界のサステイナブルの取り組みは急展開に進められ、その中でファストファッションから長く着られる服に重点が置かれ始めています。購入金額が上がっても、人権侵害なく透明性のある商品で、環境負担が少ない衣料品を積極的に購入する消費者も増えています。

日本の商品は海外に比べて値段が高いことが多く、プライスレンジにハマらないことも多かったですが、サステイナブルな思考により、プライス設定も少し高く設定されるケースもあり、少しずつチャンスが広がっています。耐久性も高い生地も多く生産しているので、戦略的にこれらのゾーンを狙っていきたいですね。


まとめ

POINT

日本繊維の現在は、海外への拠点転移と厳しい状況

日本繊維の海外進出

日本独自の技術で海外の需要を集める

・加工糸
・織物・編物
・加工品生地
・サステイナブルで耐久性のある生地

日本の繊維業界は確かに、厳しい状況に置かれていますが、まだまだ誇りのある素晴らしい生地がたくさんあります。戦略的に日本独自の技術を発信することで、海外輸出のチャンスは広がります。tunageruも日本と海外を繋ぐモノつくりのお役に立てるよう頑張りたいと思います。

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