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テキスタイル原料高騰と繊維に与える影響とは?

繊維業界の抱える大きな問題の一つとして、原料の高騰問題が挙げられます。

原料高騰の影響で、多くのサプライヤーが値上げを余儀なくされ、川上の生地工場・生地メーカーから川中の生地問屋・テキスタイルコンバーター、川下のアパレル小売りの現場までの幅広い企業が影響を受けています。

今回は、原料高騰の現状と問題点について着目していきたいと思います。

テキスタイル原料高騰の現状と要因とは?

コットンなどの天然繊維から、ポリエステルやナイロンなどの化学繊維の多くの価格が高騰しています。まずは、価格高騰の現状を調べてみました。

コットンの高騰

コットンも去年から見ても大幅な値上がりが進んでいます。

引用:綿花先物相場 | 綿花ライブチャート | 綿花相場履歴 | 綿花相場 | IFCM ジャパン (ifcmarkets.com)

上記は、2020年の1月から2021年の11月末までの綿花のチャートです。2020年の3月から4月にかけてまでは、価格は下がってきていましたが、それを皮切りに価格はどんどん上昇して、価格は2倍以上まで高騰しています。

なぜここまで異常と言えるほどの価格高騰が起きたのでしょうか?

綿花の価格高騰の大きな要因は、中国の「新疆ウイグル自治区問題」が影響しています。中国のウイグル自治区では、世界3大綿の一つである「新疆綿(しんきょうめん)」が栽培されています。ウイグル地区では中国で生産されるコットンのうち約85%も占めるとも言われていた綿花栽培地域でした。そして、この新疆綿は、世界のコットン生産量の1/4(約28%)を占めるコットン大国でした。

そんなウイグル自治区の人権問題(強制労働など)が2020年3月頃に取り上げられて以降、世界中の多くのブランドやメーカーが新疆綿の使用を控え、代わりに他のコットンの買い占めが進みました。それにより、綿花の価格が高騰する運びとなったのです。

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ポリエステルの高騰

衣料品の多くを占めるポリエステル繊維。そんなポリエステル繊維も、原料である「高純度テレフタル酸(PTA)」が高騰したことにより、価格が上昇しています。

引用:グラフで見る! プラスチックの価格の推移 月次・消費税込【出所】日本銀行 企業物価指数 (gdfreak.com)

上記は、高純度テレフタル酸のグラフではありませんが、ポリエステルの仲間であるプラスチックの価格推移が示すように、2020年から価格が高騰していることが参考として分かるかと思います。ポリエステル繊維の値上げ幅としては、紡績糸1kgあたり¥40前後の価格アップを発表する企業が多いようです。

ポリエステルは、中国のマーケットで需要が10%超えの高成長となり、需要が増えたことにより価格高騰に繋がったとされています。

ナイロンの高騰

ナイロンの原料であるカプロラクタムも去年に比べて大きく価格が高騰しています。

引用:グラフで見る! カプロラクタムの価格(輸出用)の推移 月次・円ベース【出所】日本銀行 企業物価指数 (gdfreak.com)

ナイロンは世界的にも供給不足が続いていて、それにより値段が上昇しています。多くの原糸メーカーや生地メーカーが価格を見直さざる得ない状況になりました。ナイロンは強度が高い繊維で、衣料品から自動車などの資材など幅広い商材に使用されています。需要が供給を上回る原因とはどのようなものがあるのでしょうか?

ナイロンを生成できる企業はあまり多くなく、供給元の少なさから、ナイロンは供給不足に陥りやすい繊維でもありました。災害やコロナなどの影響を受けて、さらに化学メーカーの集中するテキサス州の大寒波や停電問題に加え、物流の滞りなど様々な要因を受け、生産が追い付かない状態が続いています。残念ながら、手前すぐに供給が安定する見通しが立っておらず、価格が下がることもまだ先になるとみられています。

原油の高騰

原油の高騰も生地に影響します。機械を動かすためには欠かせない資源です。

引用:原油価格の推移(WTI/ブレント/ドバイ/OPECバスケット)|新電力ネット (pps-net.org)

原油の価格高騰は、いくつかの要因が重なり影響していると考えられています。

一つは、OPEC(石油輸出国機構)が需要と供給バランスをとるために生産量をコントロールし、それにより価格に影響を与えます。このバランス管理以外にも、コロナによる経済の抑制から徐々に回復傾向にあることで、需要が増えたことも挙げられます。人の動きやビジネスの動きに連動して、原油の需要も左右します。それだけ少しずつビジネスが回復してきていることはうれしいですが、値上げはやはり苦しいものですね。

そして世界的なガス不足により、原油への需要が増えていることも影響します。原油の高騰を超える勢いで天然ガスなどのガスの高騰が著しく上がっています。高価な天然ガスから原油へのシフトの動きが見られ、原油の需要が上がっています。

物流コストの高騰

世界的なコンテナ不足により物流の滞りや、物流網の混乱が発生しています。加えて、労働者不足から世界各地の港が混雑し、輸送の遅延に繋がっています。コンテナ船の運賃も高騰し、世界経済の回復にも大きな影響を与える問題となっています。これにより、繊維業界だけではなく、食品や日用品の生活必需品にまで価格高騰はやむを得ないとされています。

また、コンテナ船だけではなく、航空便の値上げも著しいものとなっています。海外への出国が規制される状況が続く中、航空業界は不況で、残念ながら倒産する企業もあります。旅客機のスペースを借りて、安価な値段で貨物の輸送をすることもできないため、航空運賃の値上げも避けられません。

世界経済が回復しつつあるこの頃で、輸出入が活発に動き始めたことによる物流需要が影響しているのですが、コロナウィルスがいかに世界を混乱に陥れたのかが明らかです。

繊維業界の課題

原料の高騰は、確実に繊維産業にも影響を与えるものです。上記で紹介した値上げ以外にも、染料や樹脂などたくさんの値上げが避けられないものとなっています。各企業がなんとか経済を回すために値上げを最小にしようと努力をしています。

今は踏ん張りどころで苦しいところですが、ファッションを楽しみにしてくださる方たちのためにも、常に新しいものを生み出し続けたいところです。また、コロナウィルスの影響により、今後ますますサステイナブルな社会作りがカギとなると予想されています。モノつくりから、環境やサステイナブルに貢献できる循環型社会を作りあげていきたいですね。

まとめ

POINT

原料高騰の現状と要因は?

  • コットン:ウイグル自治区の人権問題による他のコットン需要アップが要因
  • ポリエステル:需要アップと原料である「高純度テレフタル酸」高騰が要因
  • ナイロン:需要過多とカプロラクタムの高騰が原因
  • 原油:経済回復による需要アップが要因
  • 物流:コンテナ不足と経済回復による物流需要アップが要因

今回は価格の高騰と、少し暗い話になってしまいました。

困難があるからこそ、考えるきっかけになったりします。厳しい今を乗り越えて、ハッピーなモノつくりとサステイナブル社会に繋げていきたいですね。

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