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日本のテキスタイル加工と海外のテキスタイル加工の違いとは?

かつては繊維産業大国であった日本も、今では中国をはじめとする新興国に生産移転してきたため、日本の繊維業界の空洞化の進行は著しくなっています。

量をこなす生産はしていなくても、生き残りをかけて、日本の繊維技術は日々進歩しています。日本でしかできない加工があることも事実です。それでは、日本のテキスタイル加工と海外のテキスタイル加工を比較して、どのような違いがあるのでしょうか?

日本のテキスタイル加工と海外のテキスタイル加工の特徴

日本のテキスタイル加工の特徴

繊維産業は、戦後の高度成長期を支えた日本の基幹産業でした。

今では、値段やリードタイムやキャパシティなどの要因から、海外への生産拠点の移転が進行して、日本の繊維産業は新たな時代に入っています。1991年と比べて製品出荷数量は1/4までに縮小しています。

低コストで量をこなす海外と戦うために、日本では「加工技術」に力を入れて生き残りを図っています。

日本のテキスタイル加工は海外では真似ができない、繊細で高品質な商品が特徴です。日本の繊維産業は、性能を高める技術で繊維業界をリードしています。

海外のテキスタイル加工の特徴

海外のテキスタイル加工の生産スタイルの特徴としては、やはり「大量生産・低コスト・ショートリードタイム」でしょう。

消費者としても安価に衣料品を買えることは、購入動機の大きな部分を占めます。

現在、繊維産業の主要国となったアジアの各国では、どのような特徴があるのでしょうか?

中国

生産効率を重視した加工が多く、コストも安価納期も早いことが特徴です。繊維輸出としては、世界一の位置にいます。

生産効率主義の中国は、手間のかかる効率の悪い生産はあまり手を出さない傾向があります。中国でも、繊維加工の技術は進化して、かつては生産が難しかった軽量生地の生産も積極的に取り組んでいます。納期のかかる生産はせず、軽量品から重量品の幅広いジャンルの生地を生産しています。

ベトナム

ベトナムの繊維産業も活発で、需要が供給を超えているとも言われています。繊維産業は、ベトナム経済の中で大きな位置を占めていて、中国に次いで繊維輸出としては第二位になるまで成長しています。

その要因として、TPP(環太平洋連携協定)に参加したことで、受注が大きく増えたのです。中国では生産コストが上がってきていますが、ベトナムは先進国に比べて安いため、今後も需要が上がり続けると注目されています。

技術としては、中国や他の先進国と比較すると劣りますが、あまり技術を必要としないベーシックな生地はベトナムでの受注が増えています。さらに縫製工場も多いベトナムは、生地をベトナムで生産して、縫製までする一貫加工により、コストと納期メリットを生み出しています。今後、技術も追いつけば中国を超える繊維大国になるかもしれません。

台湾・韓国

台湾・韓国の生産は、日本に比べるとコスト面では安いですが、上記で述べた中国やベトナムよりは高価になります。あまり大きな国ではないため、繊維業界の労働人数やキャパシティの確保が他国と比べて少ないため、繊維産業は衰退傾向にあると言われています。日本同様に、量をこなすより、技術での生き残りに力を入れていて、糸加工などは進んでいます。今後の動きとしては、日本の後を追うような将来になると予想されています。

日本の独自のテキスタイル加工技術

テキスタイル染色技術

日本のテキスタイル染色は色ブレが少なく、とても技術が高いです。海外での色管理は、重さもしくは長さに対して染料の調整をします。日本では「疋(ひき)」という管理法が一般的で、50m前後を1疋として管理しています。1反当たりの長さは、この疋の倍数にそろえられています。(1反/1疋/50m、1反/2疋/100mまたは1反/4疋/200mなど)

この考えは海外では浸透しておらず、総重量や総数量から染料計算をする海外では、1反当たりの長さは関係ないのです。長さをそろえてカットするため、ロスは大きくなりますが、その分色ブレは海外の手法に比べて抑えられます。一度で染色できる数は決まっていますが、染色毎に色が変わらないことは、大きな強みです。

染色は疋管理で、色ブレを最小限に!

糸加工技術

日本の高い技術と知見から、たくさんの高機能糸を発信しています。

糸に加工して、糸自体に吸水性を持たせたり、防臭効果をつけたり、たくさんの機能性加工糸を生み出してきています。

海外では出回っていない糸の一つとして「非フッ素撥水糸」があります。非フッ素撥水はフッ素化合物(PFC)を含まない撥水剤で、これを糸自体に加工しているのです。近年サステイナブル思考により、環境や人体に悪影響を及ぼすフッ素化合物を排除する動きが高まっています。海外でもフッ素化合物を含む撥水糸は開発されていますが、この非フッ素撥水は加工にかなりの技術が必要のため、現時点では日本でしかできない加工と言われています。

また、近年急速に繊維業界でもリサイクル化が進んでいます。海外でもたくさんのリサイクルの糸が生産されていますが、日本の強みはストレッチリサイクル糸です。リサイクル資源になると、糸の強度が下がるため、ストレッチ糸を作るための糸の撚り加工が難しくなります。今後注目されるリサイクル化の中で、このように日本の技術が活躍する場面は増えていくかもしれません。

日本の糸加工技術はトップレベル!

日本でしかできない糸加工で世界の繊維産業をリードする

軽量品加工技術

軽量品の加工は繊細で技術が必要とされます。染色自体も糸強度が弱く、染色ヨレが発生しやすく、扱いが難しいのです。

赤丸で囲っているところに染色ヨレがでています

さらには、細い糸にコーティングやラミネート加工などをする際は、糸と糸の隙間から樹脂漏れが発生しやすく、テンション管理などの高い技術が必要とされます。

海外では、生産効率を上げるために、高いテンションで引っ張りながら生産されるケースが多いので、軽量品への樹脂塗布加工に対してはあまり技術がなく、品質問題があるケースもあります。そのため、コスト面やリードタイムで後れをとる日本でも、それを差し押さえて軽量品の加工需要は高くあります。

加工が難しい軽量品は日本技術の出番!

風合い出し技術

日本のテキスタイル加工は、低温でゆっくり加工することで、独特のソフトな風合い出しをすることができます。これも、生産効率重視の海外では見られない加工法です。同じ生地を染色するだけでも、海外品と日本品では全く違う風合いになるのです。ニット加工も織物加工でも風合いの違いは明らかです。着心地にこだわった丁寧な加工技術は、海外からも一目置かれています。

このように日本では、生産効率だけを考えるのではなく、品質面や風合いを十分考慮して生産されます。

手間と時間をかけて作り出される日本のソフトな風合い技術!

まとめ

POINT
  • 日本は「加工技術」、海外は「生産効率・低コスト・ショートリードタイム」
    が特徴
  • 日本独自の技術
    • 染色技術:疋管理で色ブレを最小限に
    • 糸加工技術:海外では作れない日本独自の高機能糸で
    • 世界の繊維業界をリードする
    • 軽量品加工技術:トップレベルの技術を駆使して高品質なモノつくり
    • 風合い出し技術:手間と時間をかけて独特の風合いに

日本における繊維業界の衰退が進んでいますが、まだまだ日本の高い技術の需要はあります。

技術面・品質面では信用度も高く、Made in Japanであると消費者も安心感があります。日本の強みを生かしたモノつくりを取り入れてみてはいかがでしょうか?

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