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ヨーロッパ各国のアパレル業界のSDGsの取り組み事例

SDGsとは?アパレル業界におけるSDGsへの取り組みって何ができる? SDGsとは SDGsとは? SDGsとは、Sustainable Development Goalsの略...

2015年9月の国連サミットで、SDGsが国際目標として掲げられたのは、もう5年以上前のことです。世界中でサステイナブルの関心が高まってきました。

各国でSDGs目標達成に向けて様々な政策が取られています。特に欧州諸国ではアジアに比べるとSDGsの取り組みはかなり進んでいます。世界各国ではどのような取り組み事例があるのでしょうか?今回は特に欧州にスポットを当てて調査しました。

SDGs各国の達成度ランキングとは?

毎年各国の、SDGs達成度が発表されています。

持続可能な開発ソリューション・ネットワーク(SDSN)が、2021年6月14日に発表した「Sustainable Development Report 2021」で、最新のSDGsの達成度ランキングを確認してみましょう。

順位国名達成度
1フィンランド85.90
2スウェーデン85.61
3デンマーク84.86
4ドイツ82.48
5ベルギー82.19
6オーストリア82.08
7ノルウェー81.98
8フランス81.67
9スロベニア81.60
10エストニア81.58
11オランダ81.56
12チェコ81.39
13アイルランド80.96
14クロアチア80.38
15ポーランド80.22
16スイス80.10
17イギリス79.97
18日本79.85
19スロバキア79.57
20スペイン79.46
SDGs達成度ランキング
(2021年6月14日更新)
参照:Sustainable Development Report 2021 (sdgindex.org)

このSDGs達成ランキングを見ると、上位3国は北欧諸国が占めています。また上位20位で欧州諸国が名を連ねて、欧州諸国のサステイナブルの関心の高さがうかがえます。

日本は18位に位置しています。

ヨーロッパ各国のSDGsの取り組み事例

デンマーク

2021年ではSDGsの達成度ランキングでは3位でしたが、2020年では2位、2019年は1位とサステイナブルに高い関心のあるデンマーク。達成度ランキング上位の取り組みはどのような活動なのでしょうか?

Copenhagen Fashion Summit

「Copenhagen Fashion Summit」は、世界中のアパレル会社が集うサステナビリティフォーラムです。2年に1度デンマークで開催され、「サステナビリティのソリューション」などのテーマを掲げて、ファッションと環境について討論会が行われます。

グッチ、バレンシアガ、ステラマッカートニーなどが属しているケリング・グループの最高経営責任者フランソワ・アンリ・ピノーなどがスピーカーとして講演し、サステイナブルファッションの重要性や取り組みについて語られます。フランソワ・アンリ・ピノーは、「サステナビリティはオプションではない。必須事項だ。」と述べるほど、環境配慮や労働環境保全のために積極的に活動しています。サステイナブルファッションの注目も高まり、世界中の多くのアパレル企業が参加する世界最大クラスの討論会です。

フランス

売れ残り衣料品の廃棄禁止

フランスではアパレル業界の循環経済に向けて、2020年に「売れ残った衣服の廃棄を禁止する法律」が施行されました。衣料品の廃棄を減らすことができれば、廃棄物の焼却量の減少によるCO2 削減にも繋がります。この法律の施行により、SDGs12番目の「つくる責任 つかう責任」の中の目標である廃棄物の削減や、CO2削減により13番目の「気候変動に具体的な対策を」への貢献が期待されます。

この廃棄禁止が生まれた背景としては、フランスでは年間10億ユーロ(約1180億円)相当の商品が廃棄されていると報告されています。さらに新品での廃棄は5,000万ユーロ(約590億円)相当に上ると言われています。まだ使用可能な衣料品が埋め立て地などに捨てられているのです。このことを政府は問題視し、廃棄物ゼロの法律が誕生しました。

ペットボトルの酵素分解

フランスのCarbios社は、今年の4月に酵素を使いペットボトル( PET )を短時間で分解し、リサイクル可能な状態にできる技術を開発したと科学雑誌「 ネイチャー 」で発表しました。Carbios社は5年後の実用化に向けて、ペプシやロレアルを含む大手メーカーと手を組み、開発を加速させています。

Carbios社は2012年から、10万種類もの微生物の調査を始め、そこで見つけ出された酵素によって、PETを短時間で分解できることを発見しました。同社によると、この酵素のおかげで1トンのPETのうちの90%を10時間以内に高速分解することができることが明らかになりました。

また、この酵素を生み出すためのコストは、新たにPETを生産するコストのわずか4%程度と言われています。

この酵素の開発に対して、専門家たちは循環経済への大きな前進だと評価しています。PETの使用範囲は多く、ペットボトル再生繊維の供給の助けになると期待されます。

2024年から2025年に商用化される予定で、今後のペットボトル削減に大きな貢献をしてくれるでしょう。

オランダ

Fashion for Good

サステイナブルファッションへの関心が高いオランダでは、2018年にアムステルダムに「Fashion for Good」と呼ばれるサステイナブルファッションへの取り組みや関心を高めるコンテンツを発信する展示スペースが作られました。「For Goodな(永続的に社会的意義のある)」をコンセプトに、ファッショントレンドを積極的に発信しています。

ここでは5つのファッション理念が掲げられています。いいファッションとは見栄えではなく、下記の5つがあって成立すると考えられています。

  • Good Materials:安全で健康、そして再利用とリサイクルのために設計された良い素材
  • Good Economy:成長し、循環し、共有され、そして全員に利益をもたらす良い経済 
  • Good Energy:再生可能でクリーンな持続可能なエネルギー
  • Good Water:すべての人が清潔で利用可能な良い水 
  • Good Lives:公正で安全、そして尊厳のある生活と労働条件である良い生活

イギリス

SCAP 2020

イギリスのSDGsを推進するNPO団体のWRAP(Waste & Resources Action Programme)は、2012年から2020年にかけて繊維業界向けの自主協定である「SCAP 2020(持続可能な衣料品行動計画)」を作成し、実施しています。このSCAPにはイギリスの衣料品販売量の約48%を占める企業が参加し、繊維業界の持続可能な資源利用に大きく貢献しました。

SCAPが2020年9月に発表したレポートによると、自社協定の目標に対して2019年末での達成度は下記の通りに報告されています。

SCAP目標2019年末結果
温室効果ガス排出量15%削減(2012年比)15.9%減  (達成)
水消費量15%削減(2012年比)19.5%減  (達成)
廃棄物量3.5%削減(2012年比)2.3%減  (未達成)

温室効果ガスと水の消費量の削減は、目標を上回り削減達成できていますが、廃棄物量に関しては目標を下回り、課題が残る結果となりました。

水の消費量は新製品の総ウォーターフットプリント(生産時の消費及び廃棄過程で消費される水の総量)をベースに測定しています。

Textiles 2030

WRAPは2021年から2030年までの10年間に向けて新たな自主協定「Textiles 2030」を発表しています。「Textiles 2030」で掲げられる目標は下記の通りです。

  • 2030年までに、温室効果ガス総排出量50%削減する(2021年比)。
  • 2030年までに、水の消費量を30%削減する(2021年比)

運用開始とともに、イギリス内でのWRAP加盟企業も増えており、循環型経済への高い関心が見られます。

WRAPの活動もあって、イギリス政府は「衣類の耐久性基準」や「リサイクル材の含有量の最低基準の導入」「ラベルや消費者向け情報の改善」を実施することを検討しています。

循環的なサプライチェーン構築への研究施設投資

また、UKリサーチ・アンド・イノベーション(UKRI:調査研究への資金拠出を行う政府機関)は3,000万ポンド(約45億円)を投じて、5つの研究施設を設立し、うちの一つは繊維産業に特化した研究を行うとされています。研究施設の設立目的は、イギリス国内の循環的なサプライチェーン構築するためで、循環型経済に向けて着々と準備を進めいています。

まとめ

  • デンマーク:達成度ランク3位
    • Copenhagen Fashion Summit:サステイナブルファッションの討論会
  • フランス: 達成度ランク8位
    • 売れ残り衣料品の廃棄禁止
    • 酵素分解による高速ペットボトル分解
  • オランダ:達成度ランク11位
    • Fashion for Good:サステイナブルファッション情報の配信 
  • イギリス:達成度ランク17位
    • SCAP 2020:温室効果ガス・水消費量・廃棄物量を削減する取り組み
    • TEXTILE 2030: 温室効果ガス・水消費量を削減する取り組み

SDGs達成度の高い北欧や欧州諸国の取り組み事例は、今後の日本のサステイナブルファッションの参考になるかと思います。

アパレル業界の環境汚染は深刻な問題です。今後も世界中でサステイナブルファッションの注目は高まり続けるでしょう。

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