生地に詳しくなれるマガジン

生地を選ぶ際に物性で気に付けないといけない点とは?

アパレル業界に限った話ではありませんが、生産メーカーにとって、素材(生地)を選ぶ際に、物性面の確認は必要不可欠です。

服といっても、日常使いのファッション向けから、スポーツ向けの衣料など幅広い種類と用途があります。その用途によって、求められる物性基準は大きく異なります。

アートやショーピース(ファッションショーのランウェイで見せるためのアイテム)など1度しか使用されないような服ではない限り、どの服にもある程度物性は確認しなければ、消費者クレームになりかねません。

生地を選ぶ際に、主にどのような点を確認するのでしょうか?

一般的な物性試験とは?

Physical Performance

Physical Performanceは日常使いの衣料から、スポーツ向け衣料まで、ほぼすべての商品で確認すべき項目です。生地本来の強度や耐久性などを見ることができます。

下記が、主にPhysical Performanceとして試験される一般的な物性項目になります。

K=Knit(ニット)、W=Woven(織物)向けの試験です。

試験生地試験項目説明
K/W収縮率熱や洗濯による生地の収縮率を試験します。数値が悪いとアイロンや洗濯で服が縮んだり、伸びたりするのでサイズが変わる可能性があります。
W引裂強度生地の破れやすさを試験します。あまりに数値が低い場合は、手で破けるレベルなので、注意して確認が必要です。
W縫目滑脱縫い目が引っ張るとどのくらいずれるかを見ます。
K/Wスナッグ摩擦による毛羽立ちを見ます。
K破裂強度編み物の破裂に対する抵抗力を見ます。
K/W伸長回復率ストレッチ生地の伸長率と、伸びた生地の戻りを試験します。
伸長回復率が低いと、伸びた生地が戻らない締まりの悪い生地になります。

Functional Performance

Functional Performanceでは、撥水や防水加工といった機能性のある生地の機能レベルを見ます。スポーツ向け衣料などでは、注目して確認する項目です。

加工内容にもよりますが、一般的にFunctional Performanceとして試験される物性項目は下記の通りです。

試験項目説明
撥水試験撥水度(水のはじく程度)を見る試験です。
吸水試験水の吸収力を見る試験です。
耐水圧防水性を見る試験です。
透湿性水蒸気をどのくらい生地の外に出すかを見る試験です。生地の中のムレをどのくらい快適にできるかを見ることができます。
速乾試験どのくらい早く水が乾くかを見る試験です。
通気度空気をどのくらい通すかを見る試験です。
ダウンプルーフやウィンドブレーカー向け商品を作る際の目安になります。
UV透過率紫外線カット率や、紫外線透過率を見る試験です。

堅牢度

堅牢度とは、色に対する耐久性で、「色落ち」「色の変色」を見るものです。

洗濯した際に、服の色が退色したり、白い服と一緒に色物の服を洗濯した際に、白い服に色移りしてしまった経験はないでしょうか?このような色の抵抗力を堅牢度で確認することができます。

基本的には、全ての衣料品に関わるので、選定の際には、堅牢度は要チェックです。

堅牢度試験で、主に測定される項目は下記の通りです。

日常の生活の上で起こりうる、色落ちや変色の可能性を数値で見ることができます。

試験項目説明
耐光光に当てた時の色落ち試験です。
洗濯洗濯した時の色落ちと、他の生地への汚染・移染の試験です。
汗に触れた時の色落ち試験です。
摩擦摩擦した時の色落ち試験です。
イエローイングNox(窒素酸化物)ガスなどを使用して、生地が黄色くなるかの試験です。
主に白または淡色の生地に試験をします。

同じ色で染色しても、糸や生地との相性次第で堅牢度は大きく変化します。過去にトラブルのない色でも、生地を変える際は必ず堅牢度を確認しましょう。

生地を選ぶ際の物性の注目ポイント

上記の項目では、一般的なアパレルに使用される物性試験の内容を紹介しました。

では用途別には、どのようなことに注意して生地を選べばいいのでしょうか?

軽量生地

ダウンプルーフやウィンドブレーカーなどに使用される軽量な生地は、消費者にも人気のある商品です。軽くて動きに負担が少ない軽量品は魅力的ですが、その分、糸も細くなり強度が弱くなるため、どうしても耐久性などの物性面で懸念があります。生地選定の際は、注意深く物性確認しましょう。

軽量品はPhysical Performanceは全て必須確認項目です。特に「引裂強度」は、基本的には高い基準を満たすことは難しいでしょう。それでも簡単に破る最低限の数値ではないことは確認しておきましょう。

またFunctional Performanceも厚地の生地と比べて不安定なため、こちらも注意深く確認する必要があります。

Physical Performanceはどれも必須確認項目(特に引裂強度)

Functional Performanceも要注意

ダウンプルーフ・ウィンドブレーカー

ダウンプルーフやウィンドブレーカーなどに使用される生地は、なんといっても「通気度」が重要になります。特にダウンプルーフは、中のダウン抜けが目に見えて分かるため、消費者クレームに繋がりやすいです。生地そのものの通気度の数値は必須確認項目です。

また、ダウンプルーフの場合は、生地レベルでは問題なくても、縫製因でのダウン漏れも考えられます。例えば、生地を縫って縫製される場合は、その縫い目からダウンが抜けることがよくあります。生地レベルで問題がない場合は、縫い目縫製ではなくシーリングなどで工夫する必要があるかもしれません。

重要確認項目は”通気度”

ストレッチ生地

ジャケットやパンツと幅広く使用されるストレッチ生地ですが、ストレッチ生地で特に注意して確認すべき項目は「収縮率」「縫目滑脱」「伸長回復率」です。

ストレッチ生地は伸びる分、洗濯や熱の影響でサイズが簡単に変わってしまう可能性があります。収縮率試験や伸長回復率で、伸縮性の伸び率とキックバックやストレッチバックと呼ばれる戻り率を選定時に確認しておきましょう。

また、滑脱の数値に問題があると、生地がずれて目曲がりを起こし見た目が変わる可能性もあります。ストレッチ生地ではこの目曲がりが比較的起きやすいので、注意して確認しましょう。

重要確認項目は”収縮率“”縫目滑脱“”伸長回復率”

防水生地

防水生地の選定でカギとなるのは、「耐水圧」試験でしょう。どのくらいの量の水を防水してくれるかを確認しましょう。防水加工をしていても、生地の相性次第ではあまり機能しないこともあり得ます。

この耐水圧試験では、初期(洗濯なし)だけではなく、洗濯後の耐水圧試験も確認していた方がいいでしょう。生地によっては、初期では問題なくても、洗濯後で著しく機能が落ちることもあります。

最近では、防水ジャケットのタグに耐水圧の数値を載せて、どのくらいの防水性があるのかを謳う商品をよく見かけます。防水ジャケットは値段も一般衣料服よりは高くなる分、数値を開示することで、消費者の安心感にもつながります。

重要確認項目は”耐水圧“

まとめ

POINT
  • Physical Performanceで生地自体の耐久性を確認
  • Functional Performanceで生地の機能性を確認
  • 堅牢度で色落ちや色移りを確認
  • -軽量生地は”Physical Performance”と
    -“Functional Performance”の両方を要チェック
  • -ダウンプルーフ・ウィンドブレーカーは”通気度”が重要
  • -ストレッチ生地は”収縮率“”縫目滑脱“”伸長回復率”が重要
  • -防水生地は”耐水圧”が重要

消費者クレームを防ぐためにも、生地の物性確認はとても重要です。

服によって、求められる物性基準は異なりますが、Physical Performanceや堅牢度といった物性は、どの服にも共通して確認していた方がいいでしょう。

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