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節水の重要な要、原着糸(げんちゃくし)とは?

後染めよりも染まった状態の糸の方が、水の消費量を減らすことができるとして注目されています。島国である日本にいると、水不足はあまり身近に感じないかもしれませんが、海外では深刻な問題としてとらえられています。水の消費量がとにかく多いアパレル業界では、水の節約は重要なキーワードとして世界中で対策に試行錯誤しているのです。

今回は、そんな節水に貢献する「原着糸(げんちゃくし)」の特徴について紹介していきます。

原着糸(げんちゃくし)とは?

原着糸(げんちゃくし)

原着糸とは、原料自体に顔料や染料を混ぜて着色した糸を指します。正式名称は「原液着色糸」で、英語では「Dope Dyed Yarn」と表現します。主にナイロンやポリエステル、アクリルなどの合成繊維に、顔料を入れて製造されます。

原着糸の製造

原着糸の製造は、ポリエステルなどの原料となるベースチップであるペレットに着色剤を含有するカラーマスターチップと呼ばれる顔料を混ぜて作られます。これらを混合して、溶かして紡糸することで、色のついた原着糸が出来上がります。

原着糸の特徴

水の消費量を大幅に減らせる

原着糸の最大のメリットは、水の消費量を減らせることです。

一般的な後染めの工程では、生機(織り機や編み機で、出来上がったままの生地)から染色まで大量の水を使用します。後染めで一般的に水を使用する工程は、精練・染色・染色後の洗いが挙げられます。

生機をまず、精練と呼ばれる洗い工程で、製編製織等で付着しているサイジングや油剤、織り込み汚れなどを除去し、不純物を取り除く作業です。染色の浸透性や後加工でのトラブルを防止する重要な工程です。その後、染色で水に染料を溶かして生地を染色します。染色後は、色落ちや色移りを防ぐためにも、洗い工程をして、余分についた染料を落とします。

原着糸の場合は、すでに染まっているので、生機の不純物を取り除く精錬工程のみで済みます。そのため、精練・染色・洗いの各工程が同じ水の量を使用していた場合、原着糸では1/3の水の消費量で済みます。生地の厚みや長さによって変わりますが、各工程で、数千リットルの水が消費されているので、3工程中1工程の水分量で済むのは、かなりの節水効果があります。

エネルギー消費量を削減できる

原着糸は、染色と染色後の洗い工程が不要になるため、その機械を動かす分の電気代などのエネルギー消費量も削減できます。素材によっては数時間、高温で圧力をかけながら染色をするので、エネルギー消費はとても大きくなります。その分のエネルギーを軽減できるので、環境にも優しい糸です。

CO2排出量を削減できる

染色と染色後の洗い工程を省くことによって、機械を稼働する際に発生するCO2の排出量を削減できます。地球温暖化の原因として挙げられるCO2によるオゾン層破壊を防ぐことは、世界中が取り組むべき課題です。

染料廃水がでない

染色での染料廃液が出ないことで、水質保全になるため、生態系を壊すこともありません。廃液を処理する際は、安全確保などの点でさまざまな決まりが設けられています。このような複雑な処理を気にしなくていい点では、原着糸を使うメリットにもなります。

変退色がしにくい

原液そのものに着色しているので、後から染める後染めと比べても、変色や退色がしにくいです。原着糸は、色素と素材が一体化しているので、後染めの繊維では色落ちがしやすい素材でも、原着糸にすることで、色の変退色を防ぐことができます。

色移りがしにくい

染料と繊維が一体化していることで、染料が外に出て他の繊維に移る色移りが起きにくくなります。色移りを防げるのは、衣料品としてはかなり好印象ですよね。お気に入りの白いシャツなどに、色移りをしてしまうとすごく落ち込みますよね。色移りがしないことは、ファッションを楽しむうえでも、重要な要素を占めています。

染めにくい素材も染色可能

原着糸は、染まりにくい素材でも、きれいに染めることができます。ポリプロピレンやアラミド繊維などは染色が難しいとされていますが、原料時点で色を入れる原着糸の製造法では、染色が有効になります。

堅牢度がいい

原着糸は、色の耐久性を示す堅牢度が良いことが特徴です。洗濯での色落ちや変色の耐久性を表す洗濯堅牢度や、太陽光などの光での変色の耐久性を表す耐光堅牢度などが後染めよりも良い傾向があります。

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好みの色の調合がしにくい

後染めの場合、ビーカーといって、素材に染料を調整しながら色合わせをすることが簡単にできます。目標色に染めて、もう少し赤味を増やしたり、濃度を落としたりと指示することで、理想の色に近づける調整ができます。後染めのビーカーは1-2週間程度で確認することができますが、原料に顔料を入れる原着糸はそう簡単にはいきません。チップに色を配合して、溶かして、紡糸して、さらに生機に織り上げて仕上げるまで、かなりの時間と行程を有します。数か月や年単位で色合わせが必要となるかもしれず、展開している色目の原着糸を購入するのが一般的なようです。

生産ロットが大きい

後染めの場合は、数100mでも染色することができます。しかし、原着糸の場合は、1色あたりの生産量がかなり大きくなります。原着糸の使用に踏み切れないデメリットは、この生産ロットかもしれません。1色あたりの生産ロットが数万メートルにまでなることもあります。1色あたり数万メートルで生産するとなると、色の複数展開する場合は、かなりの生産量になり、在庫ロスなどの懸念があります。生産ロットを減らすためには、原糸メーカーや機屋との交渉、または取り扱いのある問屋などを経由した購入を検討するのもいいかもしれません。黒などのベーシックカラーであれば、生産の融通が利く可能性もあります。

まとめ

POINT

原着糸(げんちゃくし)

  • 正式名称は原液着色糸(Dope Dyed Yarn)
  • 原料自体に顔料や染料を混ぜて着色した糸

原着糸の製造

  • ペレットに着色剤を含有するカラーマスターチップを混合→溶解→紡糸

原着糸の特徴

  • 水の消費量を大幅に減らせる
  • エネルギー消費量を削減できる
  • CO2排出量を削減できる
  • 変退色がしにくい
  • 色移りがしにくい
  • 染めにくい素材も染色可能
  • 堅牢度がいい
  • 好みの色の調合がしにくい
  • 生産ロットが大きい

原着糸は、アパレル業界が汚染産業だと言われることに歯止めをかけることができるかもしれません。それほど、環境負荷への貢献が高い糸です。環境負荷対策だけでなく、色の安定性や耐久性にも非常に魅力的なのが原着糸です。より生産量が増えて、手軽に原着糸を使用できるようになることに期待しましょう。

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